生涯の人… 〜Dearest〜
この胸のドキドキは何回も聞いてきたよ。
遥を想いながら…。
何度も……、何度も…聞いてきた。
「遥……、ちょっといい…?」
友達と話してる所で腕を引いた。
杏奈に向き直ってくれて、
「おー、杏奈!」
って…、彼の目尻が下がる。
がやがやした人混みを抜けて比較的人が少ない壁側に移動した。
「とうとう卒業だなー……。杏奈はどう…?この2年間、楽しかった…?」
デジャヴ……。
遥の笑顔が還奈ちゃんに笑い掛けた時と同じに見えた。
優しくて、愛しい瞳。
杏奈が願い続けた…愛しい笑み。
「…楽しかった…杏奈この2年間の事絶対忘れない……」
「…フフッ…俺も……」
だって、親友が出来た。
信頼出来る仲間が出来た。
遥に出会えたんだもん…。
出会いが偶然だなんて思えない。
運命をも覆す瞬間を…見たから。
貴方に出会ったあの日から杏奈の願いは1つだけ。
寂しそうに笑う貴方を…。
いつもどこか遠くを見てる貴方を…。
幸せに満たした笑顔にしてあげたい。
それだけだった…。