生涯の人… 〜Dearest〜
遥と諒士の家までの道を歩いた。
さすがに終電に間に合わなくて、諒士に連絡して泊めてもらう事になっちゃった。
風が冷たいね…、遥。
なんて…。
何度繰り返しながら心で呼び掛けたかな…。
振り向いてくれる事を願いながら話し掛ける杏奈を、遥は…、笑う…?
この愛しい後ろ姿を諦めるなんて出来ないよ…。
こんなに好きになっちゃったのに。
気持ちに答える事が出来ないってだけで、遥を諦めなきゃいけないなんて…。
そんな事出来ない…。
「遥…。杏奈…、遥の事好き…。
しつこいかもしれないけど…。
それでも…、好き。」
まだ…、この気持ちは終わってない…―
こんな簡単に…、終われないよ。
だって、杏奈運命感じちゃったんだもん…。
こんな何気ない出逢いかもしれないけど、出逢ってすぐ貴方に恋した。
それだけで…、毎日が変わったよ。
「バ〜カ…。根気いるよ。」
そう言って、優しく笑った顔に…。
泣きそうになった事は秘密。
「望む所だ…。ばか。」
下を向いて…、遥に聞こえないように呟いた。
貴方の過去に触れた夜…。
泣きそうな痛みがある事を知った夜…。
貴方の心に近づけた気がした…―
冬は、始まったばかり…。