生涯の人… 〜Dearest〜
改札を出て階段を下りながら遥に電話した。


―プップップップッ―






緊張させる呼び出し音が聞こえる。



『もしもし…』

「あっ…もしもし?……着いたんだけど…」

『うん、見えてる。そのまま階段下りてロータリーね、俺車で来てるから。』









懐かしい声に胸が苦しくなった。

少し掠れてる声。



受話器を通して耳から愛しさが流れ込んでくる。


狂おしい位の感情…。






貴方を閉じ込めた…記憶。






道路を走る車の音も聞こえない位…。

ドキドキ…ドキドキ…、心臓が鳴ってる。



階段のすぐ下に白のワンボックスが止まってて、張り裂けそうな胸を押さえながら…助手席のドアを開けた。



「ごめん、待たせた?」

「いや…そんな待ってねぇよ。」



変わらない笑顔が杏奈を包み込むように見てる。

緊張してとてもじゃないけど遥の顔が見れなくて…、運転席と助手席の距離に動揺しちゃう。


近すぎて…心臓の音がバレちゃいそう。




「…ククッ…つーかさ、何で目合わさないんだよ。」

「えっ?そんな事ないよ!」

「杏奈もしかして緊張して…」

「違っ…緊張ってゆーか……久しぶりでちょっと…アレだよ…」

「アレって…?」


ククッって意地悪そうな声出しながら遥は笑ってる。


本当こういう所は変わらない。

変わらないんだけど…。



以前よりも大人っぽくなった遥にドキドキが止まらなくて。

髪の毛の先まで神経が通ってるみたいにきゅーってなる。






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