生涯の人… 〜Dearest〜
パーキングにギアを入れて車を寄せた。
朝の通勤時間。
サラリーマンにOLが行き交う歩道に目をやる。
どうしよう……。
時間が経てば経つ程…離れがたくなるのに。
杏奈のこんな態度は遥を困らせるだけ。
けじめをつけた心が揺らぎそうだよ…。
朝日で反射するガラスで遥の顔が見えなかった。
こんなに帰りたくないのは初めてかもしれない。
だってね、ドアに手を掛けたけど中々動けないんだ。
やだよ……
遥と離れたくない。
帰りたくないよ……。
「…杏奈達……もう会えないの?……遥と友達でもいいから繋がってたい……」
「…うん……」
「でもそれってワガママかな…?」
泣きじゃくる杏奈の背中をさすって子供をあやすように叩いてくれる。
抱きしめる腕が暖かくて……遥の強さを感じる。
「杏奈……大丈夫だよ…」
「…ウゥッ……ヒック…」
「俺達はいつでも会える……俺とお前は………ずっと繋がってる…」
彼は……
そう言った…。
真っすぐな瞳で言いました。
これは……、これだけは。
嘘じゃないよね…?
隣を歩く事は出来なかったけど。
彼の側に居る事は出来ないけど…。
いつも心は側に居る。