生涯の人… 〜Dearest〜
本物の恋なんて知らなくて…。
恋がもたらす力なんて知らなくて…。
ただ1つ思う事は…、遥の心の闇に触れたかったと言う事。
それを理解する事で誰も入り込めなかった場所に行ける気がした。
杏奈だけが…遥の特別になりたかった。
「…アン、忘れただ?うちらの合言葉。」
凪との合言葉…。
まだ専門学校に入ったばかりの頃。
凪と言葉も交わした事がなかった頃…。
杏奈は学校に来るのが嫌で辞めたい…って思ってた。
最初に仲良くなった友達と反りが合わなくて、陰口を叩かれるようになってたから…。
休み時間も1人でお昼食べるのも1人で。
そんな事?って思える些細な事だって、自分に降りかかったら苦しくて…。
毎日涙を堪えるので必死だった。
辞めたくて限界に近づいてた時に…、凪と出会えたんだ。
同じクラスだったのに他の友達を作ろうとしなかった杏奈は、凪の存在に気付かないで。
…下を向いてばかりだった。