生涯の人… 〜Dearest〜
日が暮れて真っ赤な夕焼け空が広がる。
赤から黒に変わる瞬間…。
たまに起こる空気の変動なのか、これから起きる事を予知してるのか…―
電車から見える空は怖い位に紅くて…、黒い闇が侵食していく…。
オレンジじゃなく橙色。
今日の夕焼けはそんな色だった。
夜になって諒士家に集合した。
した…ハズなのに…。
「ねぇ、遥来ないの?」
帰る方向が一緒のあかりに聞いてみた。
夜8時を回っても来る気配がない遥に、我慢出来ない不安が過ぎる。
「…うーん……それがさ、微妙らしいんだ。
地元で集まりがあるらしくてわかんないんだって……来れたら来るって言ってたけど…」
また…地元。
彼が愛してやまない地元…。
そういうの羨ましいけど、なんか悲しい。
今日は還奈さんのいる地元にいたかったのかな…?
遥と一緒に見たかったのに…。
何十年かに1度の星を…。
一緒に見たかった。
杏奈はワガママなのかな…?
遥の事を知る度に全てを欲しくなる。
遥と一緒にいたいって願っちゃう…。
一緒に感動して…、一緒に綺麗な出来事を胸に刻みたい…。
そぅ思うのは…、ワガママかな?