生涯の人… 〜Dearest〜
「ご苦労ー」
諒士家に着いて1番に迎えてくれたのは遥。
玄関の入口にもたれて壁に手をついたまま…、何か文句でも言いたそうな顔で杏奈の事見てる。
「…俺だけ声かけないっていい根性してるよなぁ…」
「違っ…、だって遥は地元の友達と遊ぶと思って……」
「…ふーん……」
ふーんって…。
杏奈だって誘っていいなら最初から誘うし。
もじもじしながら言葉を探してたら、
「まっ、いいや…」
って、でこぴんされた。
全然痛くないし…。
それに…そんな事言うくせに、杏奈が買ってきた食べ物とかケーキとか…。
持ってくれるじゃん。
叩いたりするくせにね、本当は優しいの知ってるんだ。
意地悪ばっかりだけど…。
あと遥の癖…なのかな。
頭を撫でるよね。
ほら、今も……。
その指が気持ち良くて、見つめられるのが恥ずかしくて。
つい視線を逸らしちゃう…。
普通女の子だったらありがとうとか言うのかな?
恥ずかしくて俯く…?
還奈さんだったら…、どうするの…?
最近は自分でもわかる位に比べてる。
そんな事比べるものなんかじゃない…ってわかってるんだけど。
遥の優しさを感じる度に、頭の中の還奈さん信号が点滅するの…。
遥の優しさが欲しい…って…。