生涯の人… 〜Dearest〜
「さむっ…」
遥と2人になれなくって、なかなか渡せないプレゼント…。
ポケットに忍ばせながら玄関を出た。
詩衣は酔っ払って、諒士と遥は話し込んでた。
ちょっと外の空気吸ってくるね…なんて言ってきたものの…。
はぁって息を吐いたら、目で確認出来る位の白い息が漏れた。
道路沿いから外れた諒士のアパートは夜になると思ったよりも静かだった。
いつもはワイワイ皆で騒ぎながら歩いてるから、1人になるとこの静けさが結構不気味…。
「うー、寒い…」
冷たくなった鼻をすすって手の平に息を吹きかけた時…。
カチャンって音がして後ろから聞き慣れた足音が近づいてる。
この音は…、杏奈の胸を締め付ける音だ。
この足音にしか胸の心拍数は反応しないんだもん…。
ゆっくり振り返ると眠そうな遥が立ってた。
「杏奈、寒くねぇの…?」
肩を縮こませながら歩いてる。
なんか…、悔しい位に好きだなぁ。
「本っ当さみぃ。」なんて言いながらポケットに入れた手……、繋ぎたい。
心拍数上がっちゃってもいいからもっともっとドキドキしたい…。
「遥…、今日は…そのー……楽し…かった?」
「…何だよ、急に」
「うん……。杏奈のね…気のせいだったらいいの。ってゆーか、こんな事勝手に決め付けてるみたいで…、遥にしたら気分良くないかもしれないけど…」
「うん…どうした?」
1度だけ…、聞いてみたかった事がある。
そんな事ねぇよって鼻で笑われるかもしれないけど…。
それとも、お前に何がわかんの?って怒られちゃうかな。
「遥…、たまにすっごく寂しそう………笑顔が寂しそうだから…、今日ちゃんと楽しかったかなって思って…。もし楽しかったなら嬉しいなって…」
途切れ途切れに話した。
遥の表情を見るのが怖くて…、でもどうしても知りたかったの。