生涯の人… 〜Dearest〜



煙草を吸う姿が大好きだからすぐに思いついたんだ。

ライターだったら重いプレゼントにならないよね…?


遥の側にいつもいられるよね…?






「…ありがと……」


遥にしては珍しく…って言ったら失礼だけど、素直にありがとうって言われた。

照れてるのかと思って顔を覗き込んじゃおうと思ったのに…。




あんまりにも優しく笑うんだもん。

杏奈の方が恥ずかしくなっちゃう。



「あっ、あのさ…冷蔵庫にモンブランも買ってきたよ」

「まじ?俺だけ?……やっぱり俺って愛され…痛い!痛い!こんな所で盛んなよ!!」


“愛されてるなー”まで言う前に肩を叩いた。




盛る…って……。

人を欲求不満みたいに言わないでよ。



笑いながら逃げられて、結局遥に躍らされてるみたい…。

悔しい……。












でも好き…。好き……。











「いや、でも本当ありがとな…」


って言った顔。








忘れたくないな…。






カメラの代わりに瞬きでシャッターを切った。

この瞬間を“永遠”に残しておくために…。



記憶が褪せる事がないように…。















ねぇ―……。


今でもあのライターを持っていますか…?


今でも遥の好きなケーキはモンブランなのかな…?








杏奈の記憶…、塗り替えられてない…?





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