生涯の人… 〜Dearest〜
好きな人と堂々とデート出来ないって、どんなに辛いだろう…。

周りの友達は手を繋いだり街で偶然会ったら彼氏を紹介出来る事がアユミには出来ないんだ。

付き合ってたら出来る当たり前の事が…。






「ずいぶん勝手な男だね、千彰は…。アユミには我慢させるのに自分は親にもアユミにもいい顔して上手くやって……それで俺だって大変なんだ、とか言ってんじゃないの?」

「大変なんだよ…きっと」



ムカムカする感情を押さえながらパスタを頬張った。


「アホーっ!!大変でも頑張る所が違うでしょ?
バレないように隠れるのを頑張るんじゃなくて、親を説得させるのが本当に千彰がやるべき事でしょうが!」

「…ウゥッ…グスッ…うん…。
本当はね…アユミもわかってる。けどね…千彰のお母さんが反対する理由ね…。
千彰の幼なじみがいるんだけど、その娘と結婚の約束してるんだって…。お母さん同士が友達らしくて…、古い考えなのかもしれないけど、昔からの許婚って言われちゃったんだぁ…。」


泣いてるアユミの左手を握った。
こんなに辛い気持ちだったのに、気付いてあげられなかったのが悔しいよ。
ごめんね、アユミ…。

「…でも好きだから仕方ないけどさ。てゆーか、アン姉が怒ってくれたからいいや。」


好きに勝るものはなし…。ってよく言ったもんだよね。
好きってだけで頑張れる…。辛くても側にいたい気持ちのが勝っちゃうんだから。


「アユミの為なら…、杏奈はいくらだって怒るよ…、馬鹿者。」

ここがお店って忘れてるよね…。だって隣のカップルはちらちら見てるし、アユミは平気で鼻かんでるし。

「アン姉ありがとう…。好きーっ。…ヘヘッ…。」


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