生涯の人… 〜Dearest〜


こんな風に笑えるアユミは強い。

杏奈だったらめげちゃうかもしれないのに…。それでも笑顔でいようとするアユミは、年下なのに…、たまにお姉ちゃんみたいだよ。

「フフッ…食べよ!」




少しの事で落ち込んで、自分じゃダメだと思ったりしてた…。
でもこんなに強い従姉妹を見たら、逆に励まされちゃったな。

アユミはいつもアン姉に元気もらってるって言うけど、それは杏奈も一緒だよ。

アユミと話してると頑張ろうって、元気になれちゃう…。
そんな事…、調子乗るから言わないけどね。





大切な人の笑顔の源である存在でいたい。

それってもしかしたら…、好きだって言われるより何倍も価値のある言葉。



「アン姉ごめんね、心配かけて。
でも聞いてもらって元気出た!ありがとう。」


アユミの言葉を聞いて…ふと、そんな風に感じた。





杏奈は遥を好きになってからたくさんの気持ちを知ったよ。


人を想う事。

周りを大切にする事。

傷ついて自分勝手になってしまう事。

泣き事を言っても見捨てなかった親友の気持ち。

辛くても頑張ってるアユミ。



遥への恋は、杏奈を成長させてくれるね。

周りの大切さにも気付かせてくれる…。




そんな恋に…出会えたんだ。



人生で1人…、そんな人に会えるだけで幸せだと思う。

結婚しても、母親になっても、おばあちゃんになっても…。



貴方を思い出すだけで…、ただそれだけで、満たされた気持ちになれると思うんだ。


彼女になれる事ばかり願っていたけど。

もしね…。
遥の1番になれなくても、杏奈が想っていた事を忘れないでいてくれたら…。


それは、この想いは無駄じゃなかったって事だよね…?



貴方の記憶の片隅に、杏奈は存在していた証になるよね?




せっかく恋してるなら笑顔が増えた恋をしたいもん。

泣いてばかりはいられないから…。



心が強い人になれたら…―


そう思わずにはいられなかった。





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