生涯の人… 〜Dearest〜
コールが鳴ってる間拳を握りしめた。
なんか変だな…。
緊張して手に汗が滲んじゃう。
4回…5回…ってコールが鳴って、もう出ないかなぁ…なんて諦めた時、耳をつんざくような声にびっくりして受話器を離した。
『あけおめー!!』
電話越しでもわかるテンションの高さ。
周りの騒音がうるさくて遥の声が聞こえない程だった。
「遥ー?!聞こえる?あけおめー!!」
遥に負けない位の声で話した。
携帯だからわからないはずなんだけど、胸の高鳴りが聞こえない様にするだけで精一杯。
話し方で杏奈の緊張とかわかっちゃう人だから、バレてるかと思うと恥ずかしかった。
『聞こえてるよ!俺はいつもの地元メンツー!!そっちは女4人だろ?楽しめよー。』
「うん、楽しむ。友達と居る所ごめんねー!!」
『平気だよ。じゃな。』
遥の声は、少し低くて甘い。
こんなに耳に残る声…杏奈は知らないよ。
咳ばらいの仕方だって、絶対に間違えたりしない。
遥の1つ1つの事…忘れる訳ないんだ。