生涯の人… 〜Dearest〜
なんか…、声かけるタイミング失っちゃったな。
いつもは立場が逆だったから…。
杏奈が相談聞いてもらってばかりだから。
こんな時何て言葉をかければいいのかわからない。
「アン…俺……、彼女とダメかも…。やっぱ遠距離恋愛ってドラマのようにはいかねぇな…」
タケが小さく呟いた…。
付き合って1年半の彼女を地元に残してきてたの知ってる。
1度写真見せてもらったけど、色が白くて可愛い子だった。
「そんなの……タケが言ったら…ダメじゃん」
こっちの生活は楽しいけど、1人になると寂しくなる…って言ってた事があったね。
幸せな高校生の思い出を持ってきてるから…。
だから寂しいんだね。
でも、自分の夢も諦め切れないんでしょう?
杏奈、タケの考えてる事がわかっちゃうよ。
だって笑ってるのに…笑顔が痛そう。
今にも泣き出しちゃいそうじゃん。
言葉が見つからなくてタケの隣に座った。
タケはいつもそうしてくれたから…。
言葉の代わりに優しさをくれたから。