生涯の人… 〜Dearest〜
「これがいんじゃん?」
ニッと笑ってマイクを渡された。
遥が選曲したのは今年の夏流行りに流行った曲で、もちろん杏奈も知ってる。
「この歌ぁー!!遥最高じゃん!」
向かいに座ってた詩衣は手を叩いて喜んでる。
歌うしかない状況にチラッて遥を見たら、ニッコリ笑って画面を指してた。
悪魔な微笑み…とでも言うべきか。
意地悪な笑顔に、胸のずっと奥の方がきゅうってなってくる。
子供みたいに笑う笑顔が可愛くて…
目が合ったら射ぬかれる覚悟は出来てる。
ねぇ…?
これは恋だよね…?
だってこんなにドキドキする音、杏奈知らない。
こんなに胸を押さえたくなる気持ち…、感じた事ないよ。
遥の悪戯な視線を受けて歌い終わった時、
「これやばいよ、あたし超好きなんだ。」
男性グループのイントロが流れた。
バラードの曲…
…入れたのは遥だった。
聞いた事はある曲だったけど歌詞までは知らなくて。
君の笑顔は僕が守る…みたいな…。
遥の歌う声に胸が痛くなった。
サビの所で遥は振り向いたよね。
杏奈を見つめながら歌ったのはなんで…?
杏奈の気持ちに気付いてやってるの…?
そんな事されたら勘違いしちゃうよ…。
遥にとってはふざけてる態度でも、杏奈にとっては遥の行動、言葉に。
一喜一憂しちゃうんだよ…。
恋って、そうなんだよ…?