生涯の人… 〜Dearest〜
「だな。クリスマスからあんまり遊んでないしなー…」
「でしょ、でしょ!んー…っと、ボーリングでもいいし…あっ、お好み焼きも食べたい!」
「まぁ、その前に俺らの課題は期末試験だけどな…」
「…ちょっと遥…。超落ちるんですけどー。やめようよぉ……」
信号待ちしながら詩衣と遥が楽しそうに話してる。
話す言葉は決まってるのに…、どうして出てこないんだろ。
“2人で遊びたい”
この一言が……、どうして出てこないの…?
いつまでたっても変わらない信号をぼーっと見つめてた。
遥の事になると本当に臆病で…、こんな自分が嫌になる。
恋をすると臆病になるって言うけど…杏奈は大丈夫だなんて、変な自信持ってたけど。
全然ダメじゃん。
めちゃめちゃ逃げ腰になってる。
やっぱり好きな人を誘うのは勇気がいるんだ。
「杏奈…、疲れた?」
遥に顔を覗き込まれて我に返った。
会話に参加しないのを変に思ったかな…。
「あっ…あのね……」
♪♪〜♪〜♪♪♪♪
ドラマのひとこまみたいに場面が変わる。
信号が青に変わって気付いた遥も渡り始めてた。
杏奈が発した言葉は…聞こえてたのか聞こえてないのか…。
それすらもわからないまま…、彼の背中を追いかけた。