生涯の人… 〜Dearest〜
こんなうじうじした自分…嫌い。
後悔しない恋にするって凪と約束したはずなのに。
遥の過去とも全て向き合う…、そう決めたのに。
言わない事で後悔するなら言ってすっきりした方が百倍増しだよ…。
「じゃぁ、お疲れー」
「…うん…またね……」
詩衣と遥は帰る方向が同じで杏奈の乗る電車よりも先に発車した。
電車が小さくなる…。
これじゃいつもと同じだね。
頑張れない自分に悔しくなる。
2人を見送った後…、反対車線のホームで携帯を開いた。
本当は…顔を見て誘いたい。
だって、大切な事は相手の瞳を見なければわからないから。
遥の色素の薄い瞳を…。
嘘が通じない貴方の瞳の前で、杏奈はいつも追い求めてたよね。
求めて、求めて。
よく貴方を困らせた。
優しくて、その優しさがずるくて…。
胸が痛かったよ…―