生涯の人… 〜Dearest〜
親指を動かしてメールを作ろうとした時だった…。
杏奈が迷う気持ちよりも先に遥指定の着信音が鳴り響いてる。
『もしもしー、俺……』
「えっ、うん…え…どうしたの…?まだ電車じゃないの…?詩衣は?」
『今乗り換えで電車待ちしてる。詩衣と別れたとこ……』
「そ…なんだ……」
『ん………んで?杏奈は…どうした?』
気付いてたんじゃん…。
ちゃんと杏奈の事見ててくれてるって、思っていいの?
なんか嬉しいのと緊張とで、受話器を持ってる右手が震える…。
「期末……」
『ん…?』
…好き。
杏奈…遥の聞き返す時の優しい「ん?」って声が好き。
何でそんなに優しい声出すのかな…。
いつもの遥らしくないじゃん。
そんなふうに優しくされると、自分の情けなさに泣けてきちゃう…。
遥を好きな自分でいっぱいになっちゃう。
「期末試験終わったら…遊びたい…」
『…おぉ。だからさっきも話して…』
「違くて!!……ふっ…2人で……」
遠回しに言ったって遥にはわかっちゃう。
どうしてこんなに勘が良いんだろうって位、察する人だから。
杏奈の考えてる事なんて…、お見通しなんだ。
「…ダメかな?」
『…ククッ…何きょどってんだよ。2人ね、いいよ』