生涯の人… 〜Dearest〜
帰りの電車で熱くなった頬っぺたをはさんだ。
夜のガラスに反射する杏奈の顔は…、完全に恋する女の子。
いつからだろう…。
こんなに嬉しくなったり、落ち込んだり。
遥の言葉や態度で毎日が変わるようになったのは…。
悔しいな…。
杏奈がこんなに好きでも遥の心には今だに還奈さんがいる。
友達以上になれない関係。
いつも感じるのはね…。
杏奈よりも先を歩いてる貴方の存在に、どうやったら近付けるか…って事。
辛い恋を経験した分、遥は中々自分を見せてくれてない事。
本当は気付いてたよ。
笑ってるのに笑ってない時があるよね。
楽しいのにこれでいいのかな…って顔してる時ある。
そんな時いつも思うんだ…。
遥の近くにいなくちゃいけない。
杏奈には何も出来ないし、貴方が求めてるものはないかもしれないけど…。
弱音吐き出す時は…、側にいたいんだ。
ねぇ…遥。
貴方は本当は。
弱くて…寂しがりやで…。
弱い所、たくさんあったんだね。
あの頃の杏奈は…、その事に気付いてあげられなかった。