生涯の人…　〜Dearest〜
たまにね…、還奈さんには勝てないのかなって思う時がある。

こんな弱気発言したくないんだけど。


遥と還奈さんが過ごしてきた歴史と、遥と杏奈が過ごしてきた毎日。

絶対…勝てないよ。



その分、これからを繋げていけばいいってわかってる。
好きっていう気持ちに終わりがない事も…、わかってる。


けど…ううん、だからこそ…。
遥の言いたい事はわかってた。





「俺…還奈の事が今でも好きなんだよ…。
忘れる存在なんかにしたくない。皆さ、忘れなよって言うけど…。

忘れるって…なんだよ。」

怒りを含んだみたいな声だった。
還奈さんを過去形にしたくないのがわかる。

好きじゃ悪いのかよ…そう聞こえた気がした。





苦しくて…切なくて。
胸が破れそうな位痛くて。

ズキズキ音が鳴った。





こんなの卑怯だってわかってる…。
困らせるだけってわかってるの。



ごめんね…泣いたりして…。

こんな涙、遥の前で見せたくない。



でも、ごめん。止まらない…。





杏奈が想像してたより遥の傷は深かったんだね。

いつも心は還奈さんで埋められてて、還奈さんを求めてた…。



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