生涯の人… 〜Dearest〜
周りの音が聞こえなくなるって…本当だったんだ。
2人の間に流れる空気も、街の喧騒も…。
一瞬にして何も聞こえなくなった…。
杏奈だけが神社に1人きりのような気がして…、遥に心まで置いてきぼりにされた気がして。
何でこんなに苦しくさせるの…?ずるいよ。
「そ…んなの……。そんなのわかんないじゃん。
可能性があるかないかなんて、遥にだって決められる事じゃないじゃん!
杏奈には…遥と還奈さんの想いはわかんないけど。
遥に拒絶されたら…杏奈だってこの想いどうすればいいの…?」
「……。」
黙り込んだ遥にぶつけるみたいに続けた。
だって、恋をする事に無意味な事はないって…教えてくれたのは遥なんだよ…?
何でそんな事言うの?
何で…。
「遥にはわからない!杏奈が毎日どれだけ楽しいか…遥に会えるだけで、どれだけたくさん幸せもらってるか…。」
ただ好きな人が出来ただけ。
ただ恋をしただけなのに…。
毎日が輝いてるの。
好きでいるだけで幸せなんだよ。