同居相手は黒猫くん
「俺は比乃ちゃんの本当のお父さんにはなれないからね」
別人だから。
おんなじ人になんかなれない。
だから、重ねる必要はないんだ。
「新しい〝お父さん〟として」
私に優しく微笑む〝佐伯さん〟。
「よろしくお願いします」
自然と涙が零れる。
「うん…」
そして笑顔で私の涙を拭ってくれた、
「…お父さん…」
〝お父さん〟。
「あらぁ」
と、そこでお母さんがリビングへと入って来た。
そしてにこにこと微笑んだまま私の隣に座る。
「比乃は可愛い子ね」
私はお母さんに抱き締められ、また泣いた。
いつの間に、お母さんの懐はこんなに大きくなってたんだろ。
…あったかい。
幸せだなぁ。