同居相手は黒猫くん
「…分かった。じゃあ刹、明日起こすから早く寝てねっ」
そう言って今日は何事もなく部屋に帰ろうとした。
つもりだった。
「比乃おいで」
振り返ると、手を広げて私が来るのをスタンバイしてる刹の姿が。
…ま、また…。
「…な…」
「早く」
なんで来ないの?とでも言うような目をする刹。
……私はあの刹に弱い…。
ゆっくり刹に近寄ると、刹は柔らかく微笑んだ。
「ん」
私に腕を伸ばし、そのまま刹は私を引き寄せた。
「…わっ」
でもいつもとは違い、
とても優しくふんわり包むように抱き締める刹。
「…一日一回はこうしないと気が済まない」
「えっ」
耳元で刹の小さな声が聞こえる。
…え、うそ。
なんかドキドキしてる、私。
すっごいドキドキしてる…。