同居相手は黒猫くん
メロンソーダのボタンを押すと、コップにジュースが流れ込む。
シュワシュワと炭酸が音を立てている。
「メロンソーダ好きだね」
「うん!」
佐久間くんに笑顔を向ける。
小さい頃からメロンソーダが大好きで、ジュースのメニューにあったら必ず頼むくらい。
だって何にでも合うし!
「……あのさ、柴咲」
「へ?」
ジュースのボタンを押すのをやめて、佐久間くんはコップを見つめる。
「正直焦った」
笑顔ではないその不安気な顔に、私は戸惑う。
佐久間くんのこんな表情、初めてみたからだ。
「柴咲達、姉弟だもんな」
苦笑いをする佐久間くん。
胸が苦しくなる。
「俺の入る隙間ないのかなって、焦った」
切なげな目。
私は何も言えなかった。
どうしたらいいのか。
私に佐久間くんを慰める権利がないことはなんとなく分かった。
佐久間くんが苦しんでる原因が私だと分かってるから。
〝俺中学の頃から柴咲のこと好きなんだよねー〟
そんな長い間私を想ってくれていた佐久間くんの気持ちなんて、私に分かるはずがなかった。