同居相手は黒猫くん
「……佐久間くん、えと…」
「…ごめん柴咲!今の忘れて!」
と、不意に軽やかな声で佐久間くんが言った。
…え?
「なんつーか、ちょっと心配になっただけ!俺はずっと柴咲のこと好きだよ」
どんな思いを胸にしまいこんでいるのだろうか。
「刹のことももちろん好き」
佐久間くんの言葉に嘘はない。
本当に佐久間くんは刹のことが大好きなんだろうと感じる。
でも。
どうして佐久間くんがそんなに苦しんでいるのか。
どうして私はこんなに胸が苦しくなるのか。
どうして刹の存在がこんなに大きいのか。
納得できるように繋げれなかった。
また〝分からない〟に逃げるしかなかった。
「なあ柴咲、俺も柴咲と一緒のベッドで寝てみたい」
…は!?
「な、何言ってんのっ!?」
「やーだってやっぱ羨ましいしさー」
そう言って、佐久間くんはいつもの爽やかな笑顔をした。
安心するような笑顔。
「俺だって男だからな」
佐久間くんはそう言って笑う。
私が首を傾げると、佐久間くんは笑いながらコップを手に持った。
「柴咲には刺激が強いかー(笑)」
そんなことを言いながらみっちゃん達が待つテーブルの方へと歩き出す佐久間くん。
意味をなんとなく理解した途端、ボッと体が火照った。
……皆してからかうんだから…!