同居相手は黒猫くん
映画を見終わった俺達はファミレスで昼食をとることにした。
そこで最悪な偶然が起こる。
「わぁ偶然だねー。比乃ちゃん私服かわいー」
出会い頭に比乃を口説くクソたらし。
死ね。
比乃も顔赤くすんなよ。
そんな顔すんな馬鹿。
たらしが引き連れていた連中には女子はいないようだ。
つかあいつら超こっち見てんだけど。
うぜぇ。
こっち見んな。とそいつらを睨みつけていると、
「あ、そうそう健斗!」
ワクワクした表情で佐久間の肩に腕を乗せたたらし。
「聞いた?比乃ちゃんと刹くんが一緒のベッドで寝てるって」
……信じらんねぇ。
佐久間はすごく驚いた様子。
まあいつか噂回ってくるだろうけど、今言うなよ死ね。
ふと、佐久間と目が合う。
苦笑いをする佐久間。
俺はきゅっと隣の比乃の服を掴んだ。
口に出す言葉が見つからない。
佐久間を見れなかった。
……いや、見たくなかった、か。
……もうどうでもいい。
考えるのがめんどくなった。
たらしが去った後、テーブルは空気が重くなってしまった。
ほんっとにあのたらし大っ嫌いだわ。
チラリと比乃がこちらを見てきたので、俺も比乃を見た。
「…何?」
「いや、あの…これ…」
「嫌?」
「い、嫌じゃないけど……別に」
離せなかった。