同居相手は黒猫くん
あんなに二人きりになるなって言ったのに、比乃は佐久間と二人でドリンクバーに行ってしまった。
まあそれすらもどうでもいい。
比乃を止める気にもならなかった。
佐久間、普通に笑ってるけど、
多分内心焦ってたりすんだろうな。
今頃比乃に何か言ってるかも。
どうでもいいけど。
「刹くんって子供だねー」
「……は?」
突然そんなことを言い出す藤枝。
「怖がりすぎ」
「何にだよ」
藤枝の言いたいことは分かってた。
それを認めたくないって思ってる自分も分かってた。
「からかうだけで満足してたら後悔するよ?」
分かってる。
でも俺なりに頑張ってるつもりなんだよ。
「…ほっとけ」
「佐久間くんは傷つくと思うよ」
藤枝は片肘をついて俺を見つめる。
「でも刹くんのこと捨てたりしないよ、絶対」
根拠はないけど。と言って笑う藤枝。
……だといいな。