同居相手は黒猫くん
——絵の具を頂くべく、私は先輩のクラスまで付いて行った。
先輩は待っててと私に言い置いて、絵の具を取りに教室へ入っていく。
「おぉ…」
教室では、先輩方が楽しそうに準備をしていた。
試しでコスプレしてる先輩もいれば、教室の飾り付けをしてる先輩もいる。
か、かっこいい…!
「あれー、あの子って前ファミレスで話してた子じゃね?」
と、不意にそんな声が聞こえて。
その先輩は私の方を見て指差していた。
…え、私?
「裕馬(ユウマ)ー、この子ってさー」
そういいながら茶髪のその先輩は私に向かって歩いてくる。
裕馬とは室谷先輩の名前のようだ。
そういえばこの人、確か皆で遊びに行った時にファミレスで……。
「あーそう。比乃ちゃん」
絵の具を持った室谷先輩がこちらに戻って来る。
それを聞いた茶髪の先輩は、私の顔をまじまじと見てきた。
……せ、先輩の威圧感…!
「君かわいーね」
「こら和也(カズヤ)。比乃ちゃん口説くなよ」
「え、彼氏有り?」
「あの有名な黒猫くん」
「まじで!?」
何やらわけの分からない会話が目の前で交わされる中、私はきょとんとそれを見ていた。
……黒猫くんって、もしかして刹のこと!?