同居相手は黒猫くん
「せ、刹」
注文を知らせにホールから出た刹に私は急いで声を掛けた。
さっきから忙し過ぎてなかなか話せなかったのだ。
「何」
「…なんで急にやる気になったの?」
さっきまですごい嫌そうにしてたのに。
どうして急に…。
「…比乃には関係ない」
「…え」
ズキッと胸に痛みが走った。
そんなこと刹に言われたの、初めてだ。
「……そ、そっか…ごめん…」
私は俯く。
自然と声が小さくなってしまって。
……動揺してる。
刹の顔が見れない。
じわぁっとなぜか目頭が熱くなってきた。
どうしよう…。
し、仕事戻ろう…。
「……」
「じゃ、じゃあ仕事戻るね…」
そう言い置いて、私はホールに出た。
溢れそうな涙を必死で食い止める。
でも止めようとしても、さっきの言葉が思い出されてまた泣きそうになってしまう。
なんでこんなにショックなんだろ…。
と、後ろから私の手が誰かに掴まれた。