同居相手は黒猫くん
「…あ、柴咲なんて顔してんのー」
私を見た佐久間くんは、刹に見えないように私の頬を両手で押し付けた。
「うぶっ」
「そんな顔しなくても、俺大丈夫だから」
いつもの笑顔で私に小さく言う佐久間くん。
〝大丈夫〟
佐久間くんが本当に大丈夫なのかは分からない。
「だから…柴咲はそんな顔すんな」
私を落ち着かせるその笑顔。
佐久間くんは私から離れると、刹の肩に腕を回した。
「よーし!仕事しよー!」
佐久間くんと刹に続き、私もホールに戻った。
「あ、刹くーん」
「わー肩組んでるー!」
キャッキャッと喜ぶその女生徒達のテーブルへ、刹は注文を受けに行く。
…むう。
なんだろうこの感情。
「いーなーあの子達」
「あたし達も刹くん呼ぶ?」
「でも無視されないかなー」
そんな会話が聞こえる。
…ほんとに大人気じゃん。