同居相手は黒猫くん
「比乃」
グイッと私の服を引き寄せた刹。
小声で私に言った。
「可愛すぎ」
ドキッと心臓が跳ねた。
みるみる顔が熱くなる。
「…あ…ありがと…」
「たらしに見せたくない」
ぎゅーっと胸が締め付けられる。
な、なんでそんなに攻めてくるのよっ…。
「せ、刹もかっこよすぎだよ」
またこの刹を見たら、皆チヤホヤするんだろうな。
…それはちょっと嫌かも。
「…お互いさま」
刹はポンと私の頭を撫でて、歩き出した。
お互いさま、か…。
刹は私のこと、室谷先輩に見られたくないだけなんだろうけど…
私は、刹を誰にも見せたくない。
初めてこんなこと思った…。
私って、やな奴だ…。
……お互いさまじゃないよ。