同居相手は黒猫くん
——ガララ。
保健室のドアを開けるが、中に先生の姿はなかった。
「そっちのベッドに座って」
刹は私にそう指示をすると、自分は棚から湿布を取り出した。
私は指示通りにベッドに座る。
「冷たいから」
「…あ、うん」
やけにテキパキしている刹は、丁寧に私の痣に湿布を貼った。
ひんやりしていて、少し体がビクつく。
「あ、ありがと」
「ん」
「なんか、手早いね」
「慣れてるから」
〝慣れてる〟
つまりそれは、
きっと今までの刹の生活を表す言葉なんだろう。
刹はお母さんがいなくて、お父さんは忙しかったから
怪我した時、手当てしてくれるのは誰もいなくて。
いつも自分一人でやってたんだろうな。
「…何その目」
「なんか…刹が愛おしくなった」
「……」
「…?どうしたの?」
「……ずるい」
刹はそう言うと、私をぎゅっと抱き締めた。