同居相手は黒猫くん

悪くない








   *   *   *







「あれ、比乃は?」








お昼休み。



向かい合わせた二つの机の一席に座ってパンをかじっている藤枝に、刹は尋ねた。




教室を見渡すも、姿は見えない。









「あら今起きたの?」



「うるさい。比乃は?」









ほとんどの授業を寝て過ごしている刹。



受けなくてもあまり困らないほど頭が良いという。










「比乃ならジュース買いに行ってくれたよ」



「……まじで?」



「なんで嘘つくのよ」



「一人でか?」



「うん」










それを聞いた刹は血相を変えて教室から飛び出してしまった。



「え、刹くん!?」という藤枝の声を背中に、彼は振り返らずに走る。






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