同居相手は黒猫くん
「裕馬にちょっと構ってもらえてるからって調子乗りすぎ」
「あんたのせいでみんな不快な気持ちになってんのよ?」
「あの黒猫くんで有名な刹くんにも相手してもらってるみたいだし」
刹の名前にドキリとする。
…やっぱり、刹って有名なんだ。
「姉弟とか言ってるけど、実はそれこそ弱味握ってたりして」
嫌みたらしく笑う先輩。
さっきから心臓がズキズキと痛む。
…弱味なんか握ってない。
私はただ刹と一緒にいるだけなのに。
ただ室谷先輩と普通に話してるだけなのに。
私はどうすればいいのか分からない。
「とりあえずさぁ、裕馬にもう近寄んなよ」
「…えっ?」
「あんたみたいな平凡な奴が関わっていいような人じゃないんだよ」
そう。
前までの私も、同じことを言ってた。
学校で一番かっこいい室谷先輩なんか、遠い存在で。
私なんかが関われるはずがないと思っていた。
……刹に出会うまで。
思えば、刹がいなかったら室谷先輩とも話せてなかったんだろうな。
私にとって刹の存在はすごく大きい。
「い、嫌…です」
私がそう言うと、先輩らは驚いたように顔を見合わせる。
前までの私なら、多分こんなことは言えてない。
なんでもズバズバ言ってくれる刹に憧れていた。
だから
私も自分の意見を言いたい。