同居相手は黒猫くん
しかし一向に頬に痛みが走ることはない。
不思議に思い、私は恐る恐る目を開いた。
「何してんの」
刹だ。
刹が目の前に立っている。
刹は先輩の手を掴んだまま、睨みつけた。
「あ、あんたは…っ」
「早く比乃から離れないとその長い爪剥がすぞ」
その恐ろしい言葉に、先輩達は慌てて後ずさる。
な、なんで刹が…。
「その爪で比乃引っ掻いてたら問答無用でお前ら殺してたけどな」
平然と言う刹に全員が怯えた。
一番恐ろしい。
ていうかさっきの、平手打ちじゃなくて引っ掻くつもりだったのか…。
ゾッと背筋が凍る。
「…何よ!あなたもなんでそんな子がいいわけ!?」
大きな声で半泣きになりながら先輩は叫ぶ。
私はそれを刹の背中越しに見た。
刹は私の前から動こうとはしない様子。
「裕馬も…その子ばっかり…!」
また心臓がズキズキする。