同居相手は黒猫くん









しかし一向に頬に痛みが走ることはない。



不思議に思い、私は恐る恐る目を開いた。












「何してんの」












刹だ。



刹が目の前に立っている。





刹は先輩の手を掴んだまま、睨みつけた。










「あ、あんたは…っ」



「早く比乃から離れないとその長い爪剥がすぞ」









その恐ろしい言葉に、先輩達は慌てて後ずさる。





な、なんで刹が…。











「その爪で比乃引っ掻いてたら問答無用でお前ら殺してたけどな」











平然と言う刹に全員が怯えた。



一番恐ろしい。






ていうかさっきの、平手打ちじゃなくて引っ掻くつもりだったのか…。


ゾッと背筋が凍る。












「…何よ!あなたもなんでそんな子がいいわけ!?」











大きな声で半泣きになりながら先輩は叫ぶ。


私はそれを刹の背中越しに見た。




刹は私の前から動こうとはしない様子。










「裕馬も…その子ばっかり…!」











また心臓がズキズキする。





< 192 / 283 >

この作品をシェア

pagetop