同居相手は黒猫くん
「……………………え」
顔を離した室谷先輩は、少し辛そうに笑った。
いや、
あの、
今キスしましたよね……?
あの学校No.1のイケメンの室谷先輩が。
私の
頬に
キスしました……?
頭が全く追いつかない私は、ただ呆然として先輩を見つめていた。
しかし。
「…て、てんめぇ…!」
震えるような怒声が聞こえたと思えば、私と先輩は刹によって引き離された。
刹は私を自分の背中に回して、室谷先輩を睨みつける。
「てめぇまじで許さねぇ…」
刹はそう低い声を出すと、室谷先輩の胸倉を掴んだ。
まずいと思った時には、既に刹は拳を振り上げていて。
「だ、だめ!!」
私が慌てて叫んだ瞬間、刹はピタリと室谷先輩の顔の手前で拳を止めた。
心からホッとした私は、溜息をつく。
「……分かってるし」
刹はそう吐き捨てて、室谷先輩を突き離した。
分かってる…?