同居相手は黒猫くん
「せ、先輩っ…」
刹の横に出て、私は室谷先輩を呼んだ。
室谷先輩は少し驚いたように顔を上げる。
言わなきゃ。
「さっきの〝ごめんね〟って…どうしてですかっ?」
変な言葉になってしまった。
…こんなこと聞いていいのか分からないけど、
聞かないと何も進まない気がする。
先輩は最初、すごく驚いた顔をして、次にプッと吹き出した。
「ハハッ…ほんとに比乃ちゃんってこういう時素直だよね」
クスクスと笑ったあと、室谷先輩は私にまた熱い視線を送った。
でも、綺麗な眉は垂れ下がっている。
「……比乃ちゃんと、刹くんに言ったんだよ」
私と、刹?
「比乃ちゃんには、無理矢理キスしちゃってごめんねって意味で」
そこまで言って、室谷先輩はチラリと刹を見た。
刹はじっと室谷先輩を睨んだまま、仁王立ちの状態から動かない。
室谷先輩は続ける。