同居相手は黒猫くん
「刹くんには、」
「言うなっ!!」
突然大きな声を出して室谷先輩の声を遮った刹。
私は驚いて刹を見た。
焦ったような辛いような、歪んだ表情をしている。
…せ、刹?
「…もうたらしって呼ばねぇ。だから何も言うな」
刹はそう言うと、くるりと後ろに振り返ってそのまま座り込んだ。
「……分かった。じゃあ俺はおいとまするね」
そして先輩は私に「ほんとにごめんね」ともう一度言って、屋上を後にした。
…え。
結局、曖昧なままだ…。
私は、座り込んで俯いている刹を見る。
…なんで刹は止めたんだろ。
それも分からないから聞きたいけど、なんか今の刹に話し掛けるのは少し怖い。
「比乃、こっちに来て」
と、みっちゃんが私に手招きをした。
「…えっ?」
「いいから、おいで」
私は首を傾げながらみっちゃんのところへ歩み寄った。