同居相手は黒猫くん
……徐々に体温が上がっていくのを感じる。
刹に褒められるだけで、すごく安心する。
抱き締められるだけで、すごく顔が熱くなる。
…病気だ。
「…でも、今はあんまり考えなくていいから」
そう言った刹の表情は、俯いていて分からなかった。
…考えなくていい…?
「ど、どうして?」
「…俺が困る」
困る…?
な、何がどう困るの??
「困るって…」
「ごめん、比乃はなんも悪くないから」
刹は弱々しい声で言う。
…刹…?
「……もう分かんねぇ…」
あの刹からそんな弱音が発せられたことに、私は驚きを隠せなかった。
今の刹はとても小さくて、弱い。
……どうしたんだろう。
私には何も出来ないのかな…。
こんなにそばに刹がいるのに、とても遠くに感じる。
「…何考えてるか、聞かないで欲しい…?」
「…うん」
「分かった」
私は刹に確認を取ったあと、ぎゅっと優しく刹を抱き締めた。
「…あのね刹」
私が言い出すと、刹は少しだけ顔を上げた。
「私、刹から離れたりしないから」
ね。と、刹をまた抱き締める。
「……」
すると刹は、何も言わずに私を抱き締めた。
思わず笑ってしまった。