同居相手は黒猫くん
「刹先輩の気持ち、ほんとにちゃんと考えたことあるんですか?」
ズキッと心臓が痛んだ。
〝刹の気持ち〟
か、考えるって…だって…
〝分からない〟から。
「柴咲先輩はそれを全部分からないで逃げてますよね。そんなの、刹先輩達が苦しむだけです」
全部その通りだった。
私は結果的に、周りの人を傷つけてる。
私自身は守るくせに…。
「あんま比乃追い詰めんな」
と、そこで刹が私の前に立ち塞がった。
せ、刹…。
「…っ!せ、刹先輩もその人のこと甘やかし過ぎです!そんなんじゃ刹先輩が辛いだけ——」
「分かってるからそんくらい」
やけに冷静に言う刹。
すごくその背中が寂しかった。
「………じゃあ言いたいこと言わせてください」
そう言った彼女は、刹を越して私を睨んだ。
「柴咲先輩は、刹先輩と佐久間先輩と室谷先輩の誰が好きなんですか?」
…え?
誰が好きって…え!?
「多分先輩のことだから、それすら分かってないんでしょうね。…分からないふりしてるだけか」
私の心臓はどんどん早くなっていく。