同居相手は黒猫くん
〝分からないふり〟
そうだ。
私、ずっと分からないふりしてたんだ。
普通に考えたら、ほんとに簡単で、
すぐ分かることなのに。
私が今刹に抱いてるこの感情はきっとそうだ。
「好きでもないのに思わせぶりな態度取るなんて、最低です」
さっきより声がきつくなっている。
…私が気付いてないだけで、そんな態度取ってしまっていたのかもしれない…。
何も言い返せない。
「それは違うよ」
と、
佐久間くんが口を開けた。
「俺はそんな態度取られなくても、柴咲のこと好きだよ。俺が勝手に好きなんだ」
さ、佐久間くん…。
なんて直球なんだ…。
するの彼女は、グッと拳を握った。
「…好きにすればいいですっ」
そしてまた彼女は、私を睨んだ。
「自分はあなたのこと許しませんから。大嫌いです」
そう言い捨てて、彼女は走って行ってしまった。