同居相手は黒猫くん
「ど、どうしたの?」
「……」
黙ったままの刹を見つめる。
……な、何の用でここに来たんだろ。
ていうか毎回意味とかあったっけ?
「…あの一年の言葉、気にしてる?」
そう言った刹は、首を傾げて私を見上げる。
え?
「き、気にしてるっていうか……色々考えた」
「…例えば」
「……刹に対する気持ち、とか」
私の言葉に、刹は目を見開いて俯いてしまった。
何も言わず俯く刹の濡れた髪が少し反射して光っている。
…言っちゃ駄目だったかな…。
「…そっか」
小さく聞こえた刹の声。
…あれ?
どんな気持ちかとか、聞かないんだ。
…まあ聞かれても困るけど。
「…あの一年の名前って分かる?」
「えっ?」
突然話を変えてきた刹に、驚いてしまった。
な、名前?
「みっちゃんから聞いたけど、清水真子(シミズマコ)っていうらしいよ」
「…へぇ」
……なんでそんなこと聞いてきたのか気になる。
なんで清水さんのこと考えてるのかすごく気になる。
…きっと、刹が好きだから。
好きな人のことが気になって仕方ない。