同居相手は黒猫くん
「比乃や俺のことここまでちゃんと見てくれてたんだし、いい奴だよお前。…でもごめん」
そう言うと刹は、私の頭から手を下ろした。
「比乃の言うこと聞くって約束したから」
〝比乃が言うなら俺はなんでもするけど〟
心にポッと火が灯ったようだ。
「…っでも!刹先輩は柴咲先輩と——」
そこで清水さんはハッとして言うのをやめた。
チラリとまた刹を見上げると、
しーっと口の前に指を当てていた。
……え?
何…?
「…………柴咲先輩」
しばらく考える間があったあと、清水さんは私をキッと睨んだ。
「もし、刹先輩から否定されても、好きでいるんですか?」
目を見開いて固まる。
刹が、私を否定する。
そんな姿、想像したこともなかった。