同居相手は黒猫くん
分かってる。
刹がこのこと、俺に言い辛いのは分かってる。
それでもちゃんと話してくれてるってことも分かってる。
でも、一番泣かせたくない人をなんで泣かせてるのかまでは分からなかった。
「……なー刹」
「……」
「俺が柴咲取っていいの?」
刹は何も言わなかった。
今更俺がどうこう言える立場じゃない、とか考えてるんだろうなどうせ。
…刹も馬鹿だ。
「…まあどっちみちもう一回ちゃんと柴咲に言おうと思ってたしなー」
俺は立ち上がる。
しかし刹は顔を上げない。
「俺が柴咲奪っても文句言うなよー」
階段を下りながら言うが、刹は何も言って来なかった。
…馬鹿だ。
俺も刹も。
「…さてと」
…砕けに行くかー。