同居相手は黒猫くん
* * *
中学一年。
当時13歳。
「ねーねー!比乃ちゃんって好きな人いるのー?」
クラスの女子が比乃を囲む。
その様子を、隣にいた男子グループの一人、佐久間が気付いた。
「好きな人…?いるよ!」
比乃の言葉に、女子の皆が目を輝かせた。
「だれだれ!?」
「かっこいい!?」
次々飛んでくる言葉に少し圧倒されながらも、比乃は笑顔で答えた。
「みっちゃん!」
少し女子は戸惑いの表情を浮かべる。
「それって…男の子?」
「ううん、女の子。おんなじ部活の子なんだけど、すっごい優しいの!」
比乃の言葉に、女子達はわっと笑った。
「好きな人ってそういうことじゃないよー」
「男の子!」
「恋愛だよー!恋恋!」
恋…?
と、首を傾げる比乃。
今までそんな人を作ったことがなかった比乃には、無理難題だった。