同居相手は黒猫くん
踏ん切り
* * *
「…なあ、もう帰っていいか?」
「駄目ー」
学校から帰る途中、藤枝に見つかった俺はなぜかこの公園に連れて来られた。
かれこれ一時間弱、ずっと誰かを待ってる藤枝。
…つか、帰りてぇんだけど。
比乃が帰る前に帰るつもりだったのに。
顔合わせ辛いし。
「だーーーーーーもう俺帰るからなーー」
公園にあるタイヤの遊具の上に立ち、俺は言った。
目的も告げられてねーのにこんなに待ってた俺が馬鹿だったわ。
「…あ、来た」
藤枝は不意にそう言うと、ベンチから立ち上がった。
その視線の先に目をやった俺は目を見開く。
「…ハアッ、間に合ったー!」
息を切らせてそう言ったのは、佐久間。
…もしかして、佐久間待ってたのか?
「サンキュー藤枝!」
「うん。じゃあ私はこれで帰るから」
え、おいっ?!
そして藤枝は本当にあっさり帰ってしまった。
…え、俺と佐久間を話させようとしてたのか?
わけわかんねぇ…。
「……」
「…ごめんな刹。とりあえず、座ろうぜ」
そして俺達は仲良くベンチに腰掛けた。