同居相手は黒猫くん
「キャー!室谷先輩ーー!」
「今日もかっこいいー!」
食堂の出入り口の方が騒がしい。
私とみっちゃんはまたか、とそちらに振り向く。
「ごめん、通してくれないかな」
女子に囲まれていた室谷先輩は、そう言いながら人混みを掻き分けるように食堂へ入って来た。
室谷裕馬(ムロタニユウマ)先輩。
彼は学校で一番と言っていいほどのイケメンである。
それに加えて、サッカー部のエースらしい。
そんな先輩はもちろんモテにモテまくり、あんな風にファンが出来てしまっている。
「かっこいいなー」
ぽそりと呟く。
顔がびっくりするほど整っていて、ほんとに芸能人みたいだ。
かっこいいことこの上ない。
「あれ、比乃って室谷先輩に惚れてるの?」
「まさか!…あんなの遠い存在過ぎるよ」
「ふーん、……私はなぜかそうは思えないんだけどね」
「え?」
私がみっちゃんの答えを聞く前に、また食堂の出入り口辺りが騒がしくなった。