同居相手は黒猫くん
「…ここは私の部屋ですから」
「……まだそんなこと言ってんの」
「せ、刹こそ自分の部屋に戻ればいい話じゃんっ」
「俺は比乃と一緒に寝たいからいいんだよ」
……。
ぎゅうっと胸が苦しくなった。
何それ。
さっきまで、どっか行けって言ってたのに。
私は思わず笑ってしまった。
「なんで笑う?」
「ふへへ、分かんない」
私はそう笑って、刹の頭を撫でた。
この自分勝手でマイペースな男の子は、
本当に猫っぽいなと感じる。
それが憎たらしくて、たまに愛しい。
「改めて、これからよろしくお願いします!弟くんよっ」
お互い片親で、
再婚して、
義理の姉弟になって、
こんなの、中々ないし!
やっぱり幸せになりたい。
お母さんとお父さんがいて、弟がいて、
家族で幸せになりたい。
「……」
ふと刹の顔を見ると、また「あり得ない」とでもいうような、
引いたような、残念そうな表情をしていた。