同居相手は黒猫くん
「……また…またからかったの…!?」
半泣きで必死に声を張って訴えるが、
さっきのキスのせいで、体が緊張で震えて言うことを聞かない。
「からかってはねーよ。つかさっきの嘘でもないし」
ぬいぐるみを抱き締める子供のように、ぎゅうっと刹は私を抱き締めた。
上手く力が入らなくて、抵抗ができない。
「比乃お姉ちゃん、これからもよろしくー」
耳元で嫌味たらしい言葉と、ケラケラと笑う声が聞こえる。
……もう知らないっ。
私は力を振り絞って、刹を引き離す。
そしてその勢いのままベッドから降りて刹の部屋へと直行した。
——バタン。
私は後ろ手でドアを閉め、そのままその場に座り込んだ。
……すごく、納得いかない。
でも
キスされて、嫌だとは全く思わなかった……。
そんな自分が信じられなくて、私はまた一人で顔を赤くした。
き、きっと刹が弟だから。
弟だから、嫌とか思うわけがないんだ!
とりあえずそれで納得するしかない。