同居相手は黒猫くん
——「ただいまー」
家に帰ると、廊下には複数のダンボールが所狭しと置いてあった。
きっと佐伯さん達の荷物であろう。
「おかえりなさい」
「おかえり比乃ちゃん」
リビングからお母さんと佐伯さんが出迎えてくれた。
「荷物、片付けるの手伝いますよ」
ダンボールから荷物を取り出している佐伯さんに声を掛けると、優しい笑顔が返ってきた。
「ありがとう比乃ちゃん。でも俺のより、上にいる刹の手伝いしてあげて欲しいな」
刹くんの名前に、少しドキッとした。
そっか、もう2階にいるんだ。
刹くんって……どんな子なんだろ。
「わかりましたっ」
そう返事をしたあと、私はリビングへと向かった。