同居相手は黒猫くん








そして夜。


私は自分の部屋でもんもんと考えていた。




私は刹が好きで。

刹も私が好き。



……なんか実感ないっていうか…。


恋ってこういうものなんだろうか。


でも少女漫画の主人公は、好きな人と両想いって分かると、すっごい喜んでたような…。



うーん…分かんないなぁ。





――コンコン。



ドアをノックする音が聞こえて、私はベッドから体を起こした。

きっと刹だ。



「は、はい」




返事をすると、ドアを開けて刹がズカズカと入って来る。




「…刹」


「さっきの話」


「あ、うん…」


「佐久間になんか言われたのか?」




言われたっていうか、気付かされたっていうか…。




「う、ううん」




でもよく分かんないし、佐久間くんを巻き込むわけにはいかない。


私はそれを否定した。




「…ふーん」




刹は不満気にそう言うと、私の隣に腰を下ろす。




< 88 / 283 >

この作品をシェア

pagetop